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2014.1.11. 免疫講座 『動物から学ぶ』

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2014.1.11. 免疫講座 『動物から学ぶ』

2014.1.11.(土) 13:30~15:00


エステティック モリマサ プロフェッショナル スクール

講師:日本橋清州クリニック 院長 佐藤義之先生


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私は免疫の仕事をしているので、ガンが治ったという方も多くいらっしゃるのですが、その言った方の中に杉浦貴之さんという人がいまして、今年37歳になられます。

彼は、メッセンジャーという本を年に4回出しています。この本は、一般の書店では取り扱っていないのですが、医療機関では、どうしようもならない末期ガンの人たちが、自分たちがいかにしてガンを克服したかといったことについて書いています。

彼は宮崎県で毎年3月の第3日曜日に行われているマラソン大会の前日に、会場の近くにある西都原市という小さな市でイベントを開催しています。シンガーソングライターでもあるということで歌を歌ったり、末期ガンを克服した人の話をしてもらうといった企画なのですが、昨年私もそのイベントに招かれまして、お話をさせて頂いたり、皆で夕食を共にしたりしました。

翌日には、ガンを克服した人たちがマラソンを走ります。3~10キロの距離をゆっくりとしたペースではありますが、抗ガン剤などを使って小枝のようになった脚でもしっかりと走っている姿を見て本当に感動させられました。私は股関節が悪く、人工関節なのですが、今年は松葉づえを使って私も走ろうと思っています。

私は体の免疫だけでなく、心の免疫というものを重要視していますが、なかなか心の免疫を向上させていくのは難しいことです。しかしこういったイベントや本を通して、良いものを見て、良いものを聞くことで、情報交換や連帯感が生まれることで、非常に多くの方の心の免疫に良い影響を与えていると感じています。

 

私は縁があり、現薬師寺管主の山田法胤さんと20年来のお付き合いがありますが、彼は法話の中で、お釈迦様がおっしゃっていたように「煩悩を払え」と言われていましたが、実際にはなかなかできることではないとも話しています。

私たちは実は、強い感動と感謝の気持ちを持った時には、煩悩を払っているのです。そういった時には、お金が無くても、元気で皆で楽しく生きていられればそれでいいじゃないかという心の状態なのです。

煩悩を払えている頻度に個人差はありますが、なるべく法話を聞いたり、感謝、感動を得られるようにしていくことが人生を豊かにしてくれると思います。

 

・「学ぶ」はやはり「動物学」であった

 

 

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お目にかかってはいませんが、私が偉大な人だなと思う一人に動物学者の本川達雄さんという方がいらっしゃいます。

「ゾウの時間、ネズミの時間」の著者として有名な方であります。何が偉大かというと、動物学者としての研究、知識はもちろんのこと、そこから得られたものを常に人間と対比してお考えになる姿勢です。

私も20年前に生き方を変えました。常に自然界の動物の生き方を見本に自らの実生活をなるべくそれに合わせてようと意識してきた経緯があります。

この本の中で本川さんが伝えたかったことは、自然界にはルールがあるということで、人間も所詮は動物で、今となっては衣服を纏い、人工照明と食の工業化の中で生きていますが、そうなる前は、裸で狩りをしたり、木の実を食べたりしていたわけです。

 

神職の方がよく「畏み、畏み申します」と言いますが、これは畏敬の念を表す言葉です。

私たちは、地震や洪水、火山の噴火といった自然現象には畏みですが、自分の体の中に起きている現象は決して畏みとは思っていません。しかし実際は同じ自然現象なのです。

このルールをきちんと理解して、私たちは自分たちの体は恐ろしいということを知っておく必要があります。

 

この本では、哺乳類には大きさ(グラム)に応じたルールがあるということを述べています。

「動物学においては、動物が変われば、時間も変わる」ことが既に証明されています。

我々人間は、時間は唯一、絶対不変のものと頭から信じてきました。

ところが、時間は唯一絶対不変のものではないのです。

動物には、動物のサイズによって変わるそれぞれの時計があり、我々の時計では、他の動物の時間を単純にはかることができないことを動物学は証明しています。

動物には、基本的な設計図が進化の歴史の中で出来上がっており、その設計の原理の1つが「動物のサイズと時間」です。

ゾウはゾウの時間、犬には犬の時間、ネズミにはネズミの時間と、それぞれの体のサイズに応じて、違う時間の単位が存在しているのです。

確かにゾウに比べて、ネズミの寿命は人間が見本とする物理的な寿命は短くなります。

しかし一生を生き切った感覚は同じなのです。

まずは、寿命を心臓の鼓動時間で割ってみると、哺乳類では、どの動物でも一生の間に約20億回打つことになります。

すなわち20億打てば、どの哺乳類でも死を迎えるというルールがあるということです。

ネズミは1秒間に78回脈を打ち、ゾウは1.5秒間に1回打ちます。人間は0.8秒に一回打ちます。

心臓が1拍打つのに要する時間と体重との関係を対数グラフにプロットすると、1拍の時間はほぼ直線上に並び、直線の傾きは4分の1になります。この直線のより上方に描いた直線は、肺が1回動くのに要する時間と体重との関係です。これも心臓のものとほぼ平行な直線となります。

ですから、心臓の時間も呼吸の時間も、体重の4分の1乗にほぼ比例することが分かります。ただし肺の線は心臓のものより上なので、1回動くのに要する時間は、より長くなっています。

寿命を呼吸する時間で割れば、一生の間に約5億回呼吸することになり、これもまた哺乳類では、どの動物でも同じ値となります。

ネズミの寿命は数年、ゾウは100年近くの寿命を持ちますが、もし心臓の鼓動を時間と考えるならゾウもネズミも全く同じ長さだけ生きて死ぬことになります。

ちなみに、人間の20億回の鼓動は、平均的な鼓動数(1分間に72回)として何年になるのであろう答えは53.6年です。

人間も所詮、動物です。人間の考え方や行動もヒトという生物のサイズ抜きにしては、本来、考えられないものなのです。

物事には光と影があり、女性の平均寿命は85歳以上になり、2人に1人は、90歳以上生きて、さらにその2人に1人は寝たきりと言われています。医療の発達によって寿命が延びることにも良いこともあれば悪いこともあるということです。

ヒトが己のサイズを知る、これは人間にとって最も基本的な教養だと思います。動物が変われば時間も変わります。時間が変わるということは、世界観が全く異なるということです。我々は相手の世界観を全く理解せずに動物と接してきました。

おおよそ、動物の脳味噌の中にそのような世界観はありませんが、動物の生活の仕方や体のつくり方の中にその世界観はしみついているように思えます。

違う動物の世界観を理解するなど、そのような易いものではありません。しかし、少しでも努力すると彼らから生き方を学ぶことが多いことに気づき、ひいては尊敬できるようになるのではないでしょうか。

20年前に生き方を変え、私は常に基礎医学と動物学を学ぶことを勧めてきました。

動物の感性は生き方を間違えないからです。我々の感性は、欲と知識の上に発するものです。動物学はかくも肥大した人間が、立ち止まって考えるのに大切なきっかけなのです。

動物学は、ヒトという生き物を相対化し、自然の中での位置を知るチャンスを与えてくれている。

今までの物理学中心の科学は結局人間が、自然を搾取し、勝手に納得してきたものではなかったのではなかろうか。

 

・サイズと時間は比例する

 

時間は体重の4分の1乗に比例し、体重が増えると時間が長くなります。

ただし、4分の1乗に比例なので、体重が16倍になれば、時間は2倍になり、体重の増え方に比べれば、時間の長くなり方は緩やかになります。

この4分の1乗の法則は、時間が関わるいろいろな現象に当てはまります。

 

1. 寿命

2. 性的に成熟するのに要する時間

3. 息をする時間の間隔

4. 血液が体内を一巡する時間

5. 大人のサイズに成長するまでの時間

6. 赤ん坊が母親の胎内に留まっている時間

7. 心臓の脈を打つ間隔

8. タンパク質が合成されて壊されるまでの時間

 

・サイズとエネルギー消費量

 

我々動物にとって「食べる」ということは、基本的、且つ、最大の関心事です。

動物のサイズと食事量は、どんな関係にあるのでしょう。

食事量はエネルギーの消費量と関連します。

 

昭和61年のエネルギー白書によれば、日本の1次エネルギー使用料は一日当たり、5729億ワットで、それを12000万人で割ると、一人一日あたり4274ワットになります。

そこに昭和60年の食料需給表に記載されている一日一人当たり127ワットを加えると、4401ワットとなります。

これだけのエネルギーを使う生き物を逆計算すると、4.3トン、正にゾウのサイズになるのです。エネルギー消費量からみると、現代人はかくも巨大な生物になってしまったことになるのです。

 

・サイズと生育密度、サイズと行動圏

 

動物学で言う「生育密度」とは、人間で言えば、「人口密度」のことになります。

ここにも体重、すなわちサイズとの関係が存在し、体重が増せば密度は下がり、行動圏は広くなるのです。

以前、日本人の住居をウサギ小屋と評した外国人がおり、ムッときた人も多かったと思いますが、諸々の計算をすると、それでもまだ褒めすぎだったことが分かります。

今の日本人の生活環境は、ウサギ小屋ならぬ、ネズミ小屋であると言えます。

 

密度は体重に反比例し、行動圏は体重にほぼ比例します。

1985年の日本の人口密度は、320/km2であるのに対し、世界全体の人口密度は36/km2であり、日本では世界と比べて、ギュウギュウの中で生活をしていることが分かります。

日本の人口密度としておかしくない動物の体重はなんと140gになります。

 

行動圏については、その広さはほぼ体重に比例します。行動圏の広さは、何で決まるのでしょうか、それは食物のようです。

食べ物を探しに出かける距離と、この行動圏が一致し、哺乳類は食べるため以外はうろうろしないのが普段の生活態度であることが分かります。

 

物理的にきつく縛られた都会人の時間が、果たして人本来の時間なのでしょうか。

都会人のやっていることは、果たして人本来のサイズに見合ったものなのでしょうか。

体のサイズは昔とそう変わらないのに、思考のサイズばかり大きくなっています。

頭だけどんどん先に進んでしまったことが、現在の人類の不幸の最大の原因と考えています。そういった現実の中で、我々の免疫力も確実に低下してきているのではないでしょうか。

 

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第1回 『ガンにならない生き方』
第2回 『ガンにならない生き方』
佐藤先生を囲んでの座談会

中込の職場です



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