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2013.9.21. 免疫講座 「菜食主義を検証する」

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2013.9.21. 免疫講座 「菜食主義を検証する」

2013.9.21(土)13:30~15:00


第17回 『免疫講座』


テーマ:「菜食主義を検証する」



エステティック モリマサ プロフェッショナル スクール

講師:日本橋清州クリニック 院長 佐藤義之先生


※佐藤義之先生は、内科・婦人科の開業医です。

エルクレストの専任講師として定期的にスタッフ研修をしてくださったり

お客様向けにイブニングセミナーの講師もしていただいております。

広島県ご出身でご両親は原爆被爆の後遺症でガンを発症、

そのような生い立ちから独自に免疫を研究され、

先生独自のガンにならない生き方を「免疫講座」として日本全国で講演されていらっしゃいます。


 

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菜食人は、動物界の一員から生じる食べ物は摂取しません。

つまり肉、魚、ミルク、卵、チーズ、バター類は一切口にしません。

徹底した菜食主義者はハチミツも摂取せず、さらに服にもこだわり、彼らは革やウール、毛皮も着ないといいます。

 

・菜食主義者の歴史

 

完全菜食主義者をVegan(ヴィーガン)と呼ばれており、1944年、イギリス人のエルジーシェリグレーとドナルドワトソンが立ち上げました。

語源は、Vegetarianの最初の3文字と最後の2文字を取ったもので、彼らは、ヴィーガニズム(厳格な菜食主義)を一般的なベジタリアンと区別しました。

着るものや住まいを含めて、何においても動物製品を使うべきではないとしました。

今日、ヴィーガニズムの大部分は、健康志向というより、動物愛護精神から推奨している面が多くあります。

2006年、アメリカでハリスの世論調査が行われ、回答者の1.4%、つまりアメリカの人口に照らし合わせると200万人以上のヴィーガンがいることがわかっています。

 

・学会論文の歴史

 

野菜を中心とした食事が健康にどのような影響を与えるかについての調査結果は1980年代に入って、その発表が多くなりました。

総論としては、動物性脂肪、動物性たんぱくは、心臓病、糖尿病、高血圧、腎臓病、骨粗鬆症、大腸ガンをはじめとして、あらゆるガンの発症リスクとなり、さらに最近においてはアルツハイマーに関しても関与しているという報告も出始めています。

 

特にガンに関しては、乳ガン、大腸ガン、前立腺ガン、子宮体ガンとの因果関係については、数多くのそれらを証明するデータは発表されています。

飽和脂肪酸(動物性脂肪は総じて飽和脂肪酸である)は免疫系を抑制し、過剰なカロリーを含んでいるため、ガン細胞だけでなくすべての細胞の成長を促進します。

戦前欧米人と比べて、体格で劣っていた日本人が動物性食品を多く摂るようになったことによって、欧米人に近づいたという事実もありますが、動物性脂肪と動物性たんぱくは、ガン細胞が好む酸性の環境を作り出す一因になります。

また成長はある一点を超えると、正常細胞にとっては老化であるということも忘れてはいけません。

 

ヴィーガニズムには、これほどの肯定的な情報があるにも関わらず、ヴィーガニズム=健康という構図にはなりません。

実は、ヴィーガニズムの食事だけでは、十分な栄養が補えないため、健康を損なう危険があるのです。

賢く食べられる人で、様々な果物や野菜、豆類を手に入れることができ、さらに適切なビタミンやミネラルを補充することができない限り、ヴィーガニズムの食事にも要注意ということです。

 

・必須アミノ酸について

 

私たちの体の中で絶対に摂らなければならないものの中にアミノ酸があり、約20種類あり、その中で、人間の体内では合成できないものが8種類あり、必須アミノ酸と呼ばれています。

 

1. リジン

2. メチオニン

3. スレオニン

4. イソロイシン

5. バリン

6. ロイシン

7. フェニルアラニン

8. トリプトファン

 

この必須アミノ酸は、1種類でも欠けると重大な栄養障害を起こす可能性があり、毎日の食事で絶対に摂らなければなりません。

動物性のタンパク質はこれらのアミノ酸をすべて含んでおり、非常に優れたものですが、アミノ酸だけを摂ることは難しく、どうしても一緒に飽和脂肪酸である動物性脂肪も摂ることになってしまうのです。

しかしすべてではありませんが、植物性タンパクにも多くの必須アミノ酸が含まれています。

海苔の37%はタンパク質であり、昆布はアミノ酸の宝庫です。大豆も昔から「畑の肉」と称されるほど、アミノ酸を多く含み、大豆の必須アミノ酸含有量は、スレオニンが基準値を少し下回っているくらいで、動物性タンパクと比べてもほとんど遜色ありません。

私たちは1つの食べ物だけを単体で食べているわけではなく、主食の穀物があって、主菜、副菜、そして汁物という構成の中で考えていけば、十分な必須アミノ酸を摂ることができるのです。

 

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・必須脂肪酸について

 

必須アミノ酸と同じく、人間の体内で他の脂肪酸から合成できない脂肪酸で、食事からとる必要がありますが、すべて不飽和脂肪酸でオメガ3とオメガ6に分かれます

 

オメガ6の代表的な脂肪酸はリノール酸、オメガ3の代表的な脂肪酸がリノレン酸です

ただし、調理方法に留意しなければ、悪性のトランス脂肪に変化してしまいます

 

不飽和脂肪酸のほとんどは植物性であり、必須アミノ酸が摂りやすいのは動物性タンパクで、必須脂肪酸が摂りやすいのは植物性食品ということになります。

 

しかし、ほとんどが植物性である不飽和脂肪酸も、青背の魚の脂は不飽和脂肪酸であるという事実があります。ですから同じ動物でも肉は飽和脂肪酸であるのに対し、魚は不飽和脂肪酸という大きな違いがあるのです。

 

一昔前に厚生省が色々な論文をもとに、動物性の脂肪の摂取を控えるように促したものの、高コレステロール血症の人が減らず、増え続けるという結果になってしまいました。

実際に重要なのは、食べる量よりもその比率で、最低でもオメガ3:オメガ6の割合が、15以上になっている必要があります。

2000年になり、厚生省もようやくオメガ36の比率の重要性を発表しました。

比率と同じように調理方法も非常に重要であり、本来油は酸化すると過酸化脂質という活性酸素と同等の危険性を持つ物質に変化するため、本来油を入れる容器は、遮光のものにするべきですが、スーパーなどで売られている油は半透明の容器に入っているものが多く、その時点で一部がトランス脂肪になってしまっているのです。

さらに、150度以上の高温で油を調理してもまたトランス脂肪が発生することがわかっています。

オリーブオイルはオメガ9に分類され、オメガ6に比べてコレステロールの上昇率が上がりくくなりますが、中性脂肪は上がりやすくなります。

 

野菜中心の食事をしている人は、ビタミンB12とカルシウムが摂取不足になりやすく、ビタミンB12は、正式名称ではシアノコバラミンと呼ばれており、水溶性で体内に貯蔵できません。不足すると貧血や、末梢神経障害が起こりやすくなります。また点眼薬にも一部含まれています。

この物質は、穀物や果物などの植物性食品には一切含まれておらず、唯一ワカメや昆布には含まれています。

馬や牛のような草食動物は、プロピヨン酸産生菌という腸内細菌が、ビタミンB12をつくるシステムが備わっています。人間にはこの腸内細菌を持っていません。

 

人間が摂る全食品のうちの81は、動物性食品を摂るべきで、その理由は歯の種類に基づいており、32本のうち肉を食べるための歯である犬歯は4本なのです。

自然の法則に従うと、本来人間は菜食中心であるべきで、プロピヨン酸産生菌がいない分、8分の1は動物性食品を摂るべきであると言えるのです。

 

人間の祖先はヴィーガンか?

 

ヴィーガンという言葉が生まれたのは1944年のことですが、約80万年前に人類が意図的に火を使うようになるまで、動物由来の食物を口にすることはあまりなかったと考えられています。

考古学上の証拠から推測すると、それ以前の人間は生肉を噛むのに必要な咀嚼期間を持っていなかったと考えられます。

80万年前はかなり長い年月のように思われますが、世界最古の人類の確認は700万年前なので、それからすると肉が人間の食生生活に入り込んだのは進化の過程の比較的遅い時期なのです。

人間は元々農耕民族で、気候が厳しく農耕に適さない地域で徐々に狩猟が始まったと言われています。さらに人間の祖先である霊長類も大部分がヴィーガンであり、その食べ物のうち野菜以外の5%を占めているのは肉ではなく、シロアリ、昆虫をはじめとする虫でした。こうした虫は、霊長類が植物を摂取する際、間違って食べられた可能性が極めて高いとされています。

ヴィーガニズムは人間の本来の姿なのかという問いに対し、動物の行動を誰よりも良く知っているチャールズ・ダーウィンはこう言っています。

「人間の普通の食べ物は野菜である。」

 

*「ベジタリアン」という言葉は、今から160万年前、1847年英国ベジタリアン協会といったものが発足して使われるようになりました。

ベジタリアンは本来、ヴィーガンのように肉や魚は食べませんでしたが、乳製品や卵は摂取していました。

ベジタリアンという言葉がつくられる以前は、ピタゴリアンと呼ばれており、これはギリシャの哲学者であるピタゴラスに由来しています。

彼は「人間が、下等な生き物を非常にも捕獲し続ける限り、健康や平和を理解することはなく、人間が動物を虐殺する限り、お互いに殺しあうだろう」と言うほどの菜食主義であったと言われています。


第1回 『ガンにならない生き方』
第2回 『ガンにならない生き方』
佐藤先生を囲んでの座談会

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