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佐藤ドクター 「自律神経を学ぶ」

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佐藤ドクター 「自律神経を学ぶ」

2015年2月18日(水) 10:30~12:00


テーマ「自律神経を学ぶ」


@エルクレスト セミナールーム






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・病気になりやすい人となりにくい人がいる

 

体温が低いとか、体が賛成に傾いているとか身体の条件面からその原因を見つけられる場合多いですが、それらも実は自律神経のバランスの崩れの結果であることが多く、病気の本体は自律神経のバランスの崩れがその根源といっても過言ではありません。

病気のメカニズムは単純で

 

1.免疫系のトラブル:リンパ球の機能不全など

2.血管系のトラブル:動脈硬化など

 

2つに大別されます。そしてこの2つのトラブルはどちらも自律神経の働きと深く関わっています。365日休むことなく、縁の下で支えてくれている大切なシステムであるが、読んで字のごとく「自律」しています。故に私たちの医師とは無関係に働き、基本的には私たちは自律神経を制御できません。勝手に働いてくれているありがたい神経であると同時に生活次第で毒にもなる恐ろしい存在にもなります。

自律神経は交感神経と副交感神経から成り立ち、その中枢は間脳です。そして重要なのはこの両者のバランスです。自律神経は内臓や血管の機能をコントロールする神経です。季節、昼夜、気温(体温)、感情(情動)、その人の置かれている状況など、様々な要因でその人のバランスは変化します。

私たちは自分で考えて生きているようですが、考えているのは大脳だけであり、無意識に働いている脳の中の社長にあたる存在が間脳です。大脳から間脳へは多くの情報が行くため、喜怒哀楽の感情によって間脳の反応は大きく異なり、ひいては自律神経に影響を与えてしまうのです。しかし間脳から大脳へはフィードバックがありません。

病気が発症する時の自律神経のバランスの崩れは、常に、もしくは長期に渡って交感神経が大幅に優位になった状況になっています。単に交感神経が優位になった状態ではありません。活動的な日中は交感神経が支配し、夜、リラックスするときは副交感神経が支配するといった、相反する作用を持った2つの自律神経が交互に作用しているわけではありません。両方とも同時に作用していて、その時その時でどちらかがやや優位にというシーソー状態が本来の姿で、それはあくまでもやや優位なのであってどちらかが一方的に偏ってはいけないのです。

通常の自律神経の状態は、交感神経も副交感神経もよく働いている状態であり、どちらかが極端に高く、どちらかが極端に低いという状態が続いている状態は異常です。

 

交感神経が長期に優位になると

○血管系

1.血管が収縮:血流低下→うっ血、血圧上昇→高血圧、血管壁の硬化→動脈硬化

2.血糖レベルの上昇(アドレナリンが肝臓でグリコーゲンの分解を促進するため)→糖尿病→血液、組織の酸性化、糖化による血管壁の破壊

 

交感神経が優位になると、白血球の中の顆粒球が増え、リンパ球が減ります。顆粒球は細菌と戦う細胞で、リンパ球はガン細胞やウィルスと戦う細胞です。顆粒球が増えると私たちの健康維持に欠かせない常在菌も殺してしまうため、免疫力が低下してしまうのです。さらに常在菌は死ぬときに活性酸素を発生させるため、さらに身体の酸化を招くという悪循環になるのです。

 

自律神経の活性が最も高いのは10代で、その後交感神経レベルの活性については、加齢による変化もほとんどなく男女差もありません。しかし副交感神経の活性レベルについては、男性は30代、女性は40代で急激に低下し、その後も徐々に低下します。

私たちが実感している急激な体力低下の時期は、自律神経のバランスが崩れる時期一致しているかもしれません。

 

体を大切にするということは体を休めることではなく、身体の持っている機能が十分に働くことのできる状態に整えることです。もし、自律神経のバランスをコントロールできるとしたら、バランスを意識的に整えることができるとしたら、まず副交感神経の活性レベルを下げてしまうことをしない、副交感神経の活性レベルを上げることを積極的に行うべきです。

 

それを一言で言うのであれば、ゆっくり生きることです。そのためには呼吸、動作、余裕をつくるといったことに注意するとよいでしょう。

 

1. 呼吸

現段階で自律神経を確実にコントロールできるものは呼吸です。呼吸は一瞬にして身体の状態を変えます。それは末梢血管の血流量を測定できるようになって科学的に証明されました。呼吸を止めた瞬間、末梢血管の血流低下が認められます。逆に深呼吸によって副交感神経が刺激され、血管拡張、末梢血管の血流増加による筋肉弛緩が起こります。それゆえに体がリラックスし、心が落ち着く、呼吸には、瞬間的に身体の状態を変えるメカニズムがあります。31吸(吸う長さの3倍かけて吐く)

 

2. 睡眠

夜間は副交感神経が最大限に優位になる時間帯です。睡眠不足はリンパ球減少につながり、免疫力低下となります。睡眠不足は最大の敵なのです。

 

3. 腸の動きでみる自律神経バランス

消化管だけは交感神経が優位になるとその動きが低下します。腸の蠕動運動だけは副交感神経の活性が高まることで良くなります。腸をコントロールする基本行動は運動と食生活です。腸内細菌バランスにおいて善玉菌の多い状態を作り出しましょう。

 

 

○腸内環境の負のスパイラル

便秘による腸の動きの低下(交感神経↑、副交感神経↓)→善玉菌の減少、悪玉菌の増加→毒素の産生→冷え、頭痛など→便秘

 

○対策

ビフィズス菌製剤を服用、胃-結腸反射を促す:朝一番にコップ一杯の水を飲む

 

4. 自律神経のバランスを精神状態で表すと交感神経は緊張と興奮と不安、副交感神経は安心と余裕と言えます。精神状態は実に大きな影響力を自律神経に対して持っているのです。物事を行うのに30分の余裕をつくることで精神状態を調整できます。

例として、早寝早起きで十分な睡眠を経て、自然に目覚めます。十分な睡眠後の自律神経のバランスは最高です。能力もモチベーションも高まります。

 

早起きは三文の得:昔、電気がなかった頃は明かりを一晩灯すのに三文かかったことから早く寝て早く起きれば三文得をするということわざ。

 

また笑顔が副交感神経の活性を上げ、バランスを整えるのに良い習慣とすると怒りは交感神経の活性を高め、自律神経のバランスを崩す最悪の習慣になります。怒りの80%はただの自己満足に過ぎません。特別な怒りは別として、私たちが日常生活の中で感じる怒りに関して言えばほとんどがそういったものです。今日は絶対に怒らないぞという目標を設定することも良いです。不安は交感神経を緊張させる大きな要因の一つです。

ある動物実験では、ねずみの親子の子を親から取り上げて、親が子を探している状態の時に血液検査をして、ストレスの状態を見たときにリンパ球の活性が正常時の半分になっていたそうです。

 

・自律神経は測定できる

 

簡単な自律神経の測定として、光を当てて瞳孔の反射を利用して、何回で反射が遅れてくるのかなどを測ることで状態を知ることができます。

 

 




oo

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