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渡辺肇子先生レベルアップ研修 「栄養素と消化について」

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渡辺肇子先生レベルアップ研修 「栄養素と消化について」


2012.7.13.(金) 11:00~13:00


『栄養素と消化について』

 

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・食品の機能

 

    一次機能:栄養機能、エネルギー源、生命維持のための栄養面での働き

    二次機能:おいしさ、食事を楽しむという味覚、感覚面での働き

        栄養があるものを食べていても一人で食事をするよりも

大勢で楽しみながら食べた方が消化が良くなる

    三次機能:体調調節、生体の生理機能の変調を修復する働き

 

・消化と栄養素

 

食べた物を分解して体内に取り込む働きをする器官を消化器系といい、さらに消化管と消化腺に分けられる。

 

消化管:口、食道、胃、小腸、大腸、肛門へと至る食塊が通る管

消化腺:唾液線、肝臓、胆嚢、膵臓などの消化酵素を含む

 

体をつくる栄養素はたんぱく質、脂質、炭水化物の3つがある

 

    炭水化物にはデンプン、糖類があり、それぞれ酵素によって

 

デンプン→デキストリン→マルトース→グルコース

 

糖類→ガラクトース、フルクトース

 

    たんぱく質→ペプトン、ポリペプチド→アミノ酸

 

    脂肪→脂肪酸、グリセリン

 

〈たんぱく質〉

 

たんぱく質は約20種類のアミノ酸が、2~80個つながったもの

花粉などの異物(アレルゲン)となるたんぱく質も消化によって2~3個に分解されていれば、吸収しても免疫応答は起こらない。

アレルギー体質の人は消化器の機能が低下している場合が多く、5~6個つながった少し大きい分子の状態で吸収してしまい、アレルギー症状を引き起こす原因となる。

 

 

必須アミノ酸:ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、トリプトファン、メチオニン

スレオニン、フェニルアラニン、ヒスチジン

 

非必須アミノ酸:アラニン、アルギニン、グルタミン、プロリン、グルタミン

アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、チロシン

アスパラギン、グリシン、セリン

 

たんぱく質の質と量は、必須アミノ酸の量で決まり、摂取できるアミノ酸量は必要量に対する割合が一番低いものの量によるため、たんぱく質の質が悪かったとしても、摂取量を増やせば必要量を満たすことができる。

アミノ酸スコアが高い食品として鶏卵がある。

 

生体調節機能(3次機能)としては、ホルモン類、酵素類などがあり、多くは消化管内で消化により機能を失うが、消化酵素に抵抗性を持ち、腸管内で機能を持つものがある。

 

・アスパルテーム

アミノ酸2個からなり、甘味は砂糖の200倍で、急性または慢性毒性の報告があるが

調味料としてつかう量では起こらない。

 

・カゼインフォスフォペプチド(CPP

カゼイン(乳たんぱく質)由来で、本来吸収されにくいカルシウムが腸内でリン酸と結合するのを防ぎ、体内での吸収を助ける。

 

・血清コレステロール低減化ペプチド

大豆たんぱく質由来の難消化性高分子で、消化管内のコレステロール類を吸着して吸収を阻害するため、血清コレステロールの低下に役立つ。

 

・アンギオテンシン変換酵素阻害ペプチド

イワシのたんぱく質由来で、血圧を上げる酵素を阻害する。

 

・オピオイドペプチド

カゼイン(乳たんぱく質)由来で神経の興奮を鎮める。

〈脂質〉

 

水に不溶で有機溶媒に可溶な物質を総称して脂質と言い、ワックス、ステロール、トリアシルグリセロール(中性脂肪)、脂肪酸、リン脂質、糖脂質などがあり、食品においては中性脂肪が代表的、三大栄養素の中で熱量が最も高く、エネルギー源として重要。

脂溶性ビタミンの吸収に関与したり、必須脂肪酸の供給源として、またうまみにも関与する。

 

・ワックス

脂肪酸と長鎖(高級)アルコールからなる固形の中性脂肪。

 

・ステロール

アルコールの一種で3位に水酸基を持つ炭素数27~29のステロイドの総称で、遊離型、エステル型、配糖体等の形で、自然界に広く分布する。

 

・トリアシルグリセロール

グリセロールに3つの脂肪酸がエステル結合した中性脂肪。

 

・リン脂質

細胞膜を構成する主要な脂質で、構成成分にリン酸を含む。

 

 

・脂肪酸

天然の脂質の加水分解で得られる脂肪族モノカルボン酸で、カルボキシル基が末端にある長鎖の一塩基酸、ほとんどは炭素数が偶数。

 

    飽和脂肪酸

炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で動物性油脂に多い。

 

    不飽和脂肪酸

炭素間にシス型の立体配座を示す二重結合を有する

 

 

n-6系多価不飽和脂肪酸

食用の油に多く含まれる、ジホモY‐リノレン酸やアラキドン酸は、ホルモン様作用を示すロイコトリエンや痛みを増強させるプロスタグランジン類へ代謝される。

リノール酸を多く含む油脂は、血清脂質濃度低下作用を有する。

 

 

n-3系多価不飽和脂肪酸

α‐リノレン酸を多く含むのはシソ油、青魚で熱に弱いため、炒め物に向いていない。

EPAn-6系とは異なるプロスタグランジン類の前駆体であり、痛みを抑える作用がある。生理中はプロスタグランジンに敏感になるため、α-リノレン酸を含むものを摂取したり、月見草のオイルでマッサージをしたりすると良い。

特にEPADHAは抗血液凝固や中性脂肪濃度低下作用を有する。

 

n-6系、n-3系の不飽和脂肪酸は、いずれも生体で合成できないため、必須脂肪酸と呼ばれ

摂取の理想は41になることが望ましいが、食の欧米化によってn-3系の摂取が不足していると言われている。

 

・トランス脂肪酸

マーガリンなどの加工油脂の製造工程で、不飽和脂肪酸に水素を添加することでつくられ

自然界には存在せず、溶解する温度が上昇するなど物性変化が生じ、体内で代謝されにくく蓄積する。

 

 

・共役脂肪酸

リノール酸の構造異性体で、抗ガン、生活習慣病(抗動脈硬化、抗肥満、抗アレルギー)作用などが期待されているが、まだ安全性が確立されていない。

 

 

・ステロール

ステロールは動物ではコレステロール、植物では植物ステロール(フィトステロール)が代表的でピーナッツ、ゴマ、大豆、さやいんげん、枝豆類に多く含まれ、コメ油からも抽出される。

植物ステロールは細胞原形質の構成成分で、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロールなどが知られており、コレステロールの吸収を抑制する作用がある。

体内での吸収率はコレステロールが50%であるのに対し、5%しかなく、LDLコレステロールの濃度低下、HDLコレステロールの濃度上昇、血清中性脂肪レベル及び過酸化脂質低下作用も確認されている。

 

・構造脂質(ジアシルグリセロール)

年々には数%しか存在しないもので、トリアシルグリセロールとはことなる代謝過程を経るため、食後の血中中性脂肪の上昇を抑えたり、体脂肪が付きにくい特定保健用食品として

認められている。

 

〈炭水化物〉

 

糖質としてエネルギー源となる

日本人はエネルギーの55%を炭水化物から摂取しており、その大部分はデンプンである

アミロース α14グルコシド結合だけで重合した直鎖状

アミロペクチン α16グルコシド結合による分枝鎖を持つ

 

糖質の最小単位は、グルコース、ガラクトース、フルクトースなど単糖類

デンプン、デキストリン(食物繊維)は多糖類

 

フルクトースは最も甘味度の高い単糖

食事には、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースなどの二糖類も含まれる

 

・糖質の代謝

インスリンは血糖値の上昇のシグナルを感知して、膵臓のランゲルハンス島B細胞から分泌され、肝臓糖代謝のうち、解糖とグリコーゲン合成、筋肉や脂肪組織へのグルコース取り込みを促進し、血糖値を低下させる。

脳は最大のグルコース消費臓器で、摂取した糖質の25%をエネルギー源として利用し

空腹時では70%を利用する。

これを維持するため、空腹時でも血糖値は70~110mg/dlに維持されている。

 

 

〈食物繊維〉

人の消化酵素で消化されない食品中の難消化成分の総体で、主要成分は炭水化物で一部リグニンなどの非炭水化物も含まれる。

一日当たりの目標摂取量は、成人で20~25gで、30歳代以下での摂取量の著しい低下が指摘されており、2010年のデータでは目標値の70%しか摂れていないと言われている。

 

・食物繊維の種類

 

    不溶性食物繊維

セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチンなど

 

    可溶性食物繊維

ペクチン、植物ガムなど

 

小腸における他の栄養素の消化吸収を抑制することから、血中コレステロールの低下や血糖値の改善などに効果がある。

 

オリゴ糖、糖アルコール

大腸で腸内細菌の餌となり、お腹の調子を整えるもの、虫歯発生の低減に寄与するもの、食後の過血糖を抑えるものなど、甘味料としても利用されている。

 

糖アルコールは、天然の単糖、二糖類の還元基であるアルデヒド基及びケト基に、水素添加してアルコール化することによりつくられる。

 

・プロバイオティクス

微生物製剤で粘膜表面の微生物や酵素のバランスを改善したり、免疫能を刺激することを

目的とするもので乳酸菌飲料、ヨーグルトなどに含まれる。

 

・プレバイオティクス

小腸下部や大腸で、もともと存在している腸内細菌やプロバイオティクスとなりうる有用な菌の増殖を促進するもので、オリゴ糖、食物繊維などに含まれる。

 

・プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたものはシンバイオティクスと言われる。

 

〈フィトケミカル〉

 

植物性化学成分で野菜や穀類、果物などの色素、渋み、香り、辛味などの成分で多くは抗酸化力を持ち、ポリフェノール、カテキン、リコピンなどがある。

各種フィトケミカルの機能性の研究は現在も続き種類や効能が続々と発見、解明され、ガンを予防する植物エストロゲン、果物と野菜の発ガン予防なども見つかっている

 

〈夏の過ごし方とハーブ〉

夏の暑さに対して、体は発汗によって体内環境を一定に保とうとし、それによって代謝が高まり、血液循環と水分代謝が活発になる。

汗をかくことは体にとって必要なことだが、汗をそのままにしたり、急にクーラーの冷気に当たると、熱が体内にこもってしまい、かえって体を冷やす。

この時期に起こりやすいのは、湿度や気圧の変化による腰や関節などの痛み、頭痛、胃腸のトラブル、皮膚の症状、自律神経のリズムの乱れなどがあり、汗で失われたビタミン、ミネラル、水分を補給する必要がある。

 

・代謝を助けるハーブ

 

    ペパーミント+ローズヒップ

    マテ

    ハイビスカス

    ホーソン+スギナ

 

 

〈東洋医学での夏〉

 

東洋医学で夏は、立夏から始まり、小満、芒種、夏至、小暑、大暑を経て立秋までの3カ月を言う

「夏の3カ月を蕃秀と言う。天地の基は変わり、万物は花咲き実る季節である。夜は臥し早く起き、太陽の日差しを厭うことなく、志を怒らせないようにし、人も草花のように繁茂させ、気を発散させ、気持ちを外に向けるようにする。これは夏の気に応じて夏の働きである長を養う道である。

これに逆らえば、心を傷め、秋に咳の出る病になりやすく、秋の収を身に受けることができにくい。冬になって病を重ねることになるだろう。」 (素問・四気調神大論)

 

・夏の養生

 

    夜更かしをしてもいいが、朝は早く起きる

    夏の暑さを嫌がることなく、外に出て朝日に向かって運動し、体内の廃物を排泄し、新鮮な空気を吸い込み、新陳代謝を促進させる

    楽観的な気持ちを持ち、焦ったり、怒ったりしないように注意する

    植物が開花するように、身体においても体内の陽気を皮膚を通じて外に出せるように向上心を持ち続ける

 

夏の養生法の基本原則は、暑さや湿気から身を守ることで、同時に暑さから逃れるためにむやみに涼を求めて体内の陽気が衰えないように保つことも大切である。


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