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メタボリックシンドロームとメディカルハーブ

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メタボリックシンドロームとメディカルハーブ

2013.7.12.(金) 11:00~13:00

薬剤師 渡辺肇子先生 レベルアップ研修

@エルクレスト 代々木公園店 セミナールーム



講師  渡邉肇子先生

(薬剤師 NPO日本メディカルハーブ協会理事)


テーマ:

「メダボリックシンドロームと有効なメディカルハーブについて」


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・メタボリックシンドロームとは

 

肥満、高血圧、脂質異常(コレステロールと中性脂肪の異常)、高血糖などの身体異常が複合した状態を「メタボリックシンドローム」と言い、その原因としては内臓脂肪型肥満、糖や脂質の代謝異常などが考えられています。

これらの因子は「市の四重奏(1989年アメリカのノーマン・カプランが提唱)」として、心疾患との高い関連が知られていたものです。

中性脂肪はTG(トリグリセライド)という形で血液に存在し、コレステロールは、水分の多い血液の中を移動するために、水になじみ易いたんぱく質と結合して、それぞれの比重によってHDL(善玉コレステロール:肝臓にコレステロールを運ぶ)やLDL(悪玉:コレステロール)など4種類に分けられています。

 

近年の厚生労働省の調査によれば、脳卒中や心筋梗塞など、重大な生活習慣病を引き起こす危険性が高いメタボリックシンドロームとその予備軍は、40~74歳の中高年世代で2000万人近いとされています。

 

 

・メタボリックドミノとは

 

生活習慣病の発生順序とその合併症の進展過程を含めた全体像は、初期の症状が起こるとドミノが倒れるように徐々に進展していくことから「メタボリックドミノ」と呼ばれています。

内臓脂肪増加、脂肪肝、糖質や脂質の代謝機能低下→高血糖、高血圧、高脂血症→糖尿病、動脈硬化→腎症、神経症、網膜症、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害

 

・メタボリックシンドロームの診断基準

 

内臓脂肪蓄積:ウエスト周囲径 男性 85㎝以上、女性90㎝以上(内臓脂肪面積100平方センチメートル以上に相当)に加えて、以下のうち2項目以上が該当する場合。

 

1. 血清脂質異常(トリグリセライド値150/dl以上、HDLコレステロール値40/dl未満いずれか、または両方)

2. 血圧高値(最高血圧130/Hg、最低血圧85Hg以上のいずれか、または両方)

3. 空腹時血糖値110/dl以上

 

・メタボ検診とは

 

メタボリックシンドロームの共通の要因である高血圧、脂質異常、高血糖は、重複すると虚血性心疾患、脳血管障害などが発症するリスクが高くなるため、内臓脂肪を減らすことによってリスクを減らすという考え方が重要です。

これらは予防することが可能ですし、また発症した後でも生活習慣を改善することによって病気の進行や重症化を防ぐことができます。

このような背景から、20084月、メタボリックシンドロームの予防を目的とした特定健康診査、特定保健指導が実施されており、40歳以上75歳未満の服薬していない人が対象です。(服薬している人は病人として解釈しています)

健康診断の目的は、早期発見、早期治療で、これらは予防の観点からは2次予防と呼ばれています。

今から5年ほど前から2次予防のさらに前の段階である1次予防の重要性が注目されており、これは健康の維持、増進を目的としています。

3次予防はリハビリ、再発予防を目的として使われます。

 

・生活習慣病とは

 

生活習慣病とは、毎日の生活習慣の積み重ねによっておこる病気の総称です。

かつては病気の発症や信仰の原因が、加齢によるものが多いと考えられていたことから「成人病」と呼ばれていました。

しかし成人の慢性病は、ある日突然発症するのではなく、若いころからの食生活、運動、睡眠や休養、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣を長い期間不適切に積み重ねた結果であることが多いのです。

また成人だけでなく、子供にも同じ症状が増えてきています。

このことから1996年に「生活習慣病」へと名称が改められました。

 

・日本人と生活習慣病

 

日本人の3分の2近くは、生活習慣病を原因とした病気で死亡しています。

生活習慣病は、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管疾患(脳梗塞、脳出血)、肝臓病、高尿酸血症、アレルギー、骨粗鬆症、貧血、歯周病、がんなど幅広い病気が含まれます。これらを予防するためには、正しい知識のもとに適切な生活習慣を身に着ける意識が大切です。

ストレスや電磁波、紫外線、放射線、タバコ、急激で過剰な運動、大気汚染、排気ガス、医薬品、添加物、農薬などによって細胞が酸化することで、冷え性、肩こり、肝臓病、腎臓病、肌荒れ、シミ、シワ、アレルギー、自己免疫疾患、老化、ガン、糖尿病、動脈硬化、認知症といった疾患の原因となります。

動脈硬化とは、動脈壁が厚くなり、弾力性が減って硬くなった状態で、太い動脈の内側にコレステロールなどの脂質が沈着して血管が狭くなったものや、カルシウムが沈着して硬くなるものなどもあります。

動脈硬化は、10代から始まり、数十年かけて進行します。

最近では、若年者での飲酒、喫煙は減少しているものの、食生活誤った知識によって糖尿病が増加しています。

子供にコーラなどの飲料を与えることを控えている親が多くなっている一方で、栄養を考えて野菜ジュースなどを過剰に与えてしまうと、野菜ジュースにも多くの糖質が含まれているために膵臓に負担がかかってしまいます。

また人工甘味料で糖質を抑えた食品を与えることも、脳への栄養はグルコース(純粋な糖質)だけなので、人工甘味料では脳のエネルギーにはならず、逆に脳内の血糖が下がってしまい、余計に糖質の欲求が高まってしまうという悪循環が起こります。

 

・肥満症

 

肥満とは、体内の脂肪組織が過剰に蓄積した状態を言います。

対し脳の分布から内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられますが、生活習慣病の要因とされているのは内臓脂肪型肥満です。

このことから、肥満のすべてに治療が必要なのではなく、健康障害に繋がりやすいものを判別し、1つの疾患と考えて改善していくことが重要です。

肥満を正確に測定するには体脂肪量を厳密にはかる必要がありますが、手軽にはできません。体脂肪量は身長に対する体重の比率と相関するため、一般的にはこれを表すBMIが用いられます。

BMIの求め方:体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m

BMI値による肥満の判定

18.5未満:低体重

18.525未満:普通体重

25以上:肥満




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・生活習慣病とメディカルハーブ

 

〈肥満によく用いられるハーブ〉

 

1. マルベリー(桑)

二糖類を単糖類に分解する消化酵素であるα‐グルコシダーゼを阻害することによって糖分の吸収を抑えます。したがって食事やスイーツを食べる前にティーを飲みます。

 

2. マテ

カフェインにより、脂肪の燃焼が促されます。運動の前に飲むと、効果を高めることができます。

 

3. アーティーチョーク

特に油を摂ることが多い人に適しています。肝臓の働きを高めて、脂質の分解を助けます。

 




〈高血圧によく用いられるハーブ〉


高血圧症

心臓から送り出された血液が動脈壁を押す圧力を血圧と言います。

血圧は心臓の収縮時には高く、拡張期には低くなります。心拍数と同様に、血圧も常に一定ではありません。血管が細くなったり弾力性が失われたりする動脈硬化の状態では、血圧は高くなります。

高血圧の状態が長く続くと、心臓、脳、腎臓、眼などに合併症が起こる可能性が高くなります。

高血圧症の人の90%以上は遺伝的な因子と環境的な因子が関連した結果で、はっきりした原因はわかりません。また、多くの人は程度が進行するまで自覚症状を感じません。

 

高血圧の基準:収縮期血圧140Hg 異常または拡張期血圧90Hg以上

 

1. リンデン

フラボノイドによる鎮静と利尿の働きがあります。香りを楽しみながら、ゆっくり飲みましょう。

 

2. ホーソン

高血圧の他に、動悸や息切れ、心臓に圧迫感がある時にみ適しています。

 

3. ラベンダー精油

芳香浴をしながらゆっくり深い呼吸をすると、よりリラックスできます。

 



〈脂質異常によく用いられるハーブ〉

 

脂質異常症は、血中のLDLコレステロール値、HDLコレステロール、およびトリグリセリド値(中性脂肪値)によって判断されます。これらは動脈硬化を促進させる大きな因子の1つです。

 

脂質異常症の診断基準

トリグリセリド値:150/dl以上

総コレステロール値:220/dl以上

HDLコレステロール値:40/dl未満

LDLコレステロール値:160/dl以上

 

1. アーティチョーク

苦み成分が肝臓の機能を高めて、コレステロールの処理を助けます。

 

2. ミルクシスル

傷ついた肝細胞の修復を促し、肝機能を助けます。

 

3. ローズマリー精油

温湿布やトリートメントで血管を健やかに保ちます。

 




〈高血糖によく用いられるハーブ〉

 

糖尿病とは、血糖値(血中のグルコースの量)が基準値よりも高く、血糖値を下げるインスリンの分泌が減少していることやインスリンの作用が低下していることから起きる病気です。インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、血糖を低下させる働きをします。

糖尿病は、インスリンそのものが欠乏している1型糖尿病とインスリンの働きが低下している2型糖尿病に分類されますが、生活習慣病として問題視されているのは2型です。

血糖が高い状態が続くと合併症が起こり、それらによって重大な病気や致命的な症状を招く可能性が高くなります。糖尿病の3大合併症とは、糖尿病性腎症、網膜症、神経症でいずれも細い血管の障害が原因です。

 

75gブドウ糖負荷試験診断基準

 

糖尿病型:空腹時126/dl以上、2時間値200/dl以上

正常型:空腹時110/dl未満、140mg/dl未満

境界型:正常型でも糖尿病型でもないもの




 

インスリン抵抗性

インスリン抵抗性とは、組織におけるインスリン感受性が低下し、インスリンが効きにくくなっている状態を意味します。

インスリン抵抗性が生じる原因の1つとして、内臓脂肪蓄積(過食や運動不足などの生活習慣が主な原因)によるTNF-αの増加やアディポネクチンの低下が注目されています。

 

インスリン抵抗性が亢進すると、代償的にインスリン分泌が亢進し、高血糖を是正しようとします。しかし、その状態が続くとこの機構は破たんし、インスリン分泌が低下するため、さらに高血糖となる。

 

欧米人はインスリンの分泌能が高く、過食が続いてもインスリン分泌は低下しない。

その結果、肥満にはなるが、この状態では糖尿病にはなりません。

多くの日本人のインスリン分泌能は欧米人よりも低く、過度の肥満になる前にインスリン分泌障害を起こし、糖尿病となります。

また日本人はインスリン分泌障害優位の2型糖尿病が多い(食後高血糖)。しかし先天的に分泌障害があっても、良い生活習慣があれば、インスリン感受性は高く、インスリン抵抗性をおこしません。

 

1. マルベリー

食前にマルベリーのハーブティーを飲むことで、糖分の吸収を抑えて食後の血糖値の急な上昇を抑えます。

 

2. ベルガモット精油

芳香浴などで、気分を明るくし、安心感をもたらします。ストレスや不安による過食を予防します。




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