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佐藤義之先生レベルアップ研修 [牛乳論争を検証する]

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佐藤義之先生レベルアップ研修 [牛乳論争を検証する]

2012.2.22.(水) 10:30~12:00

 

佐藤義之ドクター・レベルアップ研修

 

テーマ『牛乳論争を検証する』

 

@エルクレスト代々木公園店 セミナールーム

 

 

講師は、日本橋清州クリニック院長、佐藤義之先生です

 

DSCN3607hg.jpg 

バターとマーガリンでカロリーは無塩バター763kcal、有塩バター745kcal、ソフトマーガリン758kcal、ファットスプレット(水で薄めたもの)が631kcalとほとんど変わらない。

 

 

 

・飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

 

1960年代、厚生省がコレステロール摂取による動脈硬化を防ぐために動物性脂肪を減らし、リノール酸系(オメガ6)の植物性油を推奨した。

その理由は植物性油の脂肪酸は炭素の鎖に水素が未結合の部分がある不飽和脂肪酸であり、融点が低いことから常温でも液体でいられるため人間の体内に入っても固まることはないが、動物性脂の脂肪酸は炭素の鎖に水素が隙間なく結合した飽和脂肪酸であり、融点が高いことから人間の体内では固まるため、血液がドロドロになる原因と言われたことによる。

これによりオメガ6が過剰に摂取されるようになった

 

オメガ3を含む食品は少なく、動物では青背の魚またはアザラシなどにしか含まれていない。

飽和脂肪酸の中でもココナッツやヤシ油がなどは植物でありながら飽和脂肪酸であり、青背の魚は動物でありながら不飽和脂肪酸である。

不飽和脂肪酸の中で一価のものはオメガ9、多価ものものはオメガ6、オメガ3でこの2種類は人体で合成できないため必須脂肪酸と呼ばれる。

 

 

 

・マーガリン事件

 

商品化するためには長期保存が可能でなければならず、不飽和脂肪酸は非常に酸化しやすく長期保存は難しいことから、業者は酸化を防ぐために水素添加法を考案し、これは150~200℃の高温、高圧下で強制的に水素を添加する方法で長期保存は可能になったが、自然界に存在するようなシス型の脂肪には技術的にできず、反対側に水素が結合したことによってトランス型の脂肪がつくられたことで様々な悪影響が出ることが明らかになった。

 

また市販の植物性精製油であるベニバナ油、サラダ油、コーン油、ゴマ油、ヒマワリ油などは、オメガ6のリノール酸を多く含んでおり、これらは不飽和脂肪酸のため非常に酸化しやすく、本来は遮光瓶に入っていなければならないが、加工する段階において150度以上の高温で処理することで長期保存が可能になったもののトランス脂肪が発生している可能性が高い。

 

しかしコールドプレスのラベルがあるものは30℃以上の熱を加えていないため、トランス脂肪は発生していない。

 

 

 

 

・トランス脂肪の人体に対する悪影響

 

①トランス脂肪は自然界に存在しないことから、体内では異物として認識され、分解がうまくできず細胞内に蓄積することによって肥満の原因となる

 

②免疫担当細胞は異物認識をすることによって、アレルギーの原因となる

 

③細胞壁に影響を与え、インスリン受容体機能低下や栄養分取り込み障害、老廃物の排泄障害が起こる

 

 

 

 

・細胞膜とオメガ3、オメガ6の関係

 

細胞膜の重要な構成成分はオメガ3、オメガ6で、両者のバランスが重要であり、アラスカのグリーンランドの原住民であるイヌイット族は、オメガ3であるアザラシを主食として摂っていたことから心臓病がほとんど起こらなかったが、イヌイットの中でデンマークに移住した人たちは食事の変化で多くが心臓病で無くなったという事実からトランス脂肪の研究が始まったと言われており、グリーンランドのイヌイット族のオメガ3とオメガ6の比率は11であったのに対し、移住したイヌイット族は150であったため心臓病が多く発症したとされている。

 

この比率の限界値は41とされているが、この40年で日本人のリノール酸(オメガ6)の摂取量は3倍以上も増加しており、現代人の比率の平均は101にもなっている。

特に脳神経細胞の細胞膜はオメガ3が必要であり、20%以上含まれていなければ情報が正しく伝達されないとされ、アルツハイマー型認知症などの患者のオメガ3は非常に低かったというデータも出ている。

2005年に厚生省は、日本人の食事摂取基準にリノール酸の摂取を控えるように声明を出している。

 

 

 

・コレステロールについて

 

コレステロールの供給源は毎日食事で摂るものと体内で合成されるものがあり、この比率は13であり、肝臓で合成されるコレステロールの量は食事で摂るコレステロール量によって左右されるが、肝臓にトランス脂肪が付着することで、善玉コレステロールの合成が減少し、悪玉コレステロールの合成が増えてしまう。

従って、動物性脂を植物性油に変えても、それを商品化するためにつくられたトランス脂肪が肝臓に付着してしまうことによって悪玉コレステロール量が以前よりも増え、高コレステロール血症と診断される人の数も1950年代よりもはるかに増えているという事実がある。

 

 

 

・オメガ3とオメガ6の働き

 

リノール酸は体内で変化し、アラキドン酸となってエコノサイド(局所性ホルモン)をつくり、オメガ3もエコノサイドをつくるが、両者は全く正反対の働きをする。

 

    トロンボキサン 

オメガ6では止血作用、オメガ3では血液凝固能を低下させ、流れやすい状態にする

 

    プロスタグランジン

オメガ6では炎症を促進しガン細胞を増殖させるのに対し、オメガ3は炎症を抑え、オメガ6のプロスタグランジンの作用をブロックする

 

    ロイコトリエン

オメガ6ではヒスタミンの1000倍の作用があり、気管支の収縮作用などからアレルギーの元になるが、オメガ3では気管支を拡張する

 

 

 

 

・調理法について

 

トランス脂肪の無いフレッシュオイルを使用しても、高温で揚げる、焼く、炒めるといった調理法を用いると、150160℃以上になることが多く、トランス脂肪が発生するとともに、デンプンと反応することによってアクリルアミドという発ガン物質も発生する。

しかし茹でる、煮る、蒸すといった方法では100℃前後のためトランスは発生しない。

 

 

 

・オリーブオイルについて

 

オリーブオイルはオメガ9に分類されるオレイン酸を70~80%含有しており、不飽和脂肪酸の中では安定しており、融点が高いのが特徴で、善玉コレステロールを下げることなく、悪玉コレステロールを下げる働きを持つが、150℃以上に加熱すると、トランス脂肪ができてしまう。

 

 

 

 

・トランス脂肪への規制について

 

WHOでは、トランス脂肪の一日の摂取量カロリーの1%以下になるようにという基準をつくり、アメリカでは20087月までに全ての調整食品からトランス脂肪を排除することを決定したが、日本では規制がないのが現状である。

 

 

 

 

 

中込の職場です

 

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